狂気の沙汰も萌え次第

雑記ブログのはずが同人女の日記になりました。

む[2023/12/7(木)]

朝から人身事故が発生し、JRのダイヤが大幅に乱れる。人身事故は自然災害みたいなものなので仕方ない。よく「人の迷惑を考えろ」と怒ってる人がいるが、そもそも事故か自殺かもわからないし、たとえ自殺だったとしても「その迷惑を考えられないほど追い詰められている」ことに想像が及ばないのか? 原因はその人自身ではなく、社会や社会構造にある可能性に想像が及ばないのか? 親族が仮に人身事故で亡くなったとして、そういう風に怒りをぶつけられたらどう思うのか?(これは人によるけど)と思う。世の中には死にたいと考えたことのない人がいて、そういう人たちが呑気に怒ってるのを見ると「うーん」と思わなくもない。最近はかなり「他人に迷惑をかけてはいけない」という意識が高すぎる気がして、窮屈に思わなくもない。「ひとりで〇ね」と人身事故にあわれた人に怒りをぶつけている人は論外。リアルタイム検索で出てくるユーザーを見る限り、だいたいは若い人なのかもしれないけど…大人になると、報復を兼ねて最後の最後くらい盛大に迷惑をかけてから死にたいとか思ったりすることもありますよ。本当に思うだけですけどね。自分は人身事故が発生すると(サラリーマンかな、経営者かな、なんにせよ大変だったんだろうな…)と怒りよりも同情が先に来てしまう。
遅刻したり自分自身に損害が発生していることは確かなので、怒る気持ちもわかるし否定派しないが、全体的に余裕がない社会だなとは思う。被害者叩きは日本の原風景なので自分も見慣れてしまっているが、冷静に考えておかしいよなぁ…世間は公正世界仮説を信じすぎだ。世の中はクソだという認識で生きたほうが腹を立てなくて済むのでおすすめです(前回と逆のことを言っていてごめん)。


こういう日に限ってPCを持ってないので出社する以外選択肢はなかった。しかし、いつ発車するかもわからない激混みの電車に乗る意気地がなく、30分ほど最寄り駅のドトールで過ごした。店によってモーニングのメニューが違うことに気づき、「ホットモーニング」のベーコンエッグサンドを頼む。そしたらアッツアツのチーズとベーコン、卵が入ったホットサンドが出てきた。これまで食べたドトールの食事メニューで一番おいしい。思いがけない収穫だった。ピークが過ぎて若干空いた電車で移動し、村上春樹海辺のカフカ・下』を読む。石の描写を見て、『すずめの戸締り』の要石を思い出した。あれは四国から東北を目指す物語だったけれども、海辺のカフカは東京から四国を目指す旅だったな。新海誠監督は村上春樹の世代だろうし、影響を受けていそうだなと思った。



とはいえ今週は猫の手も借りたいほど忙しい。会社でひたすら記事を書く。記事を書いていたら夜になっていて怖かった。
お腹が空いていたけど外食せず真っ直ぐ帰宅。近所のスーパーで安くなっていたパック寿司で夕食。寿司は寿司だけど、全然美味しくなかった…いつも売れ残ってる理由が分かった。9時過ぎに夕食を食べると胃もたれをするのでほどほどにしたい。

プデュ(PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS)は第三回順位発表。推していた髙橋妃那ちゃんはまさかの大幅ランクダウンで脱落。阿部和ちゃんも同じく脱落。はぁーーーー…………………………私の日プ終了です。妃那ちゃん、キラキラした姿を見せてくれてありがとう。輝ける場所が他に絶対あるし、可能性の塊だよ。これからもずっと応援しています。
そして桃奈のデビューを心から願っています。

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観た映画

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎(東映アニメーション、古賀豪監督、2023年)

めちゃくちゃ面白かったです。
鬼太郎の父(目玉おやじ)の物語で、昭和31年の戦後間もない日本が舞台です。血液銀行に勤める銀行員・水木が、得意先の「龍賀製薬」を経営する龍賀家の家督が亡くなったことを聞きつけ、哭倉(なぐら)村に赴くところから物語が始まります。もちろん目的は得意先へのご挨拶だけではありません。龍賀家は日本の政財界を牛耳る一族であり、また戦時中から出回っている「M」と呼ばれる強力な滋養強壮剤の製造を行うのが龍賀製薬なのでした。

結果から言うと、龍賀家は幽霊族(妖怪)の血から血液製剤「M」を作って富を得ていました。製造は村ぐるみで行われ、秘密を隠匿しようと龍賀家をはじめ哭倉村全体は閉鎖的な雰囲気に包まれています。その閉鎖的な環境から逃げ出したい、自由になりたいと言い、水木と協力関係になるのが龍賀家の子息・龍賀沙代なのですが…

この映画が「因習村モノ」として扱われていることに私は若干違和感があり、なぜなら「妖怪の血液から作った血液製剤」を売るのはどうやら戦争が始まった頃からのようなんですよね。龍賀家が資本主義的に富を得ている構造だからです。因習と言うと土着の風習・宗教的な習わしを指す場合がほとんどだと思うので、今回のケースは「因習」ではないでしょう。

街には戦争孤児や失業者がわんさかいて、企業は企業戦士(とM)を以てこれからの経済社会(結果的には高度経済成長期)を生き抜こうとします。閉鎖的な村ですが、弱者と強者の対比の構図が色濃く残り、戦前・戦中から引き継ぐ富国強兵の精神がまだまだ日本全体を覆っています。沙代が「本当は東京にも自由がないことは知っている」といった通り、当時の日本はまさに弱肉強食、龍賀家が妖怪を支配していたように、強者が弱者を支配する構造でした。

そんな中で、ゲゲ郎(鬼太郎の父)が愛を信じて、行方不明となった妻を見つけ、助け出そうともがく姿が本当にかっこよかったです。そしてゲゲ郎と戦う水木もかっこよかったです。物語のラストで、哭倉村を脱出した水木は村での出来事をすべて忘れてしまいます。しかし、墓の中から生まれた赤ん坊(鬼太郎)を助け出した理由は、虫の知らせというより、本当に彼自身が持っていた愛以外ないだろうなと思い、その姿にグッときました。


とにかくディテールもストーリーもものすごく良かったです。ジャパニーズ・ホラーとしても、妖怪ものとしても、鬼太郎としても、アニメーション作品としても、最高でした。中盤のバトルシーンの作画がものすごくてスクリーンに釘付けになりました。
戦争を回顧するするシーンではしっかりと痛みが描かれており、水木しげる『総員玉砕せよ!』の上官が一緒に突撃してくれなかったエピソードも組み込まれていて、ものすごくよかったです。
そしてキャラクターデザインが…好きだ…。水木と沙代さん、孝三おじさんのデザインがヘキにささる。キャラクターデザインはシン・エヴァンゲリオン劇場版の副監督などを務めた谷田部透湖さん。めちゃくちゃお若い方で、しかも14年武蔵美卒って私とそんなに歳変わらないやんけワレェ! すごいぞ!

パンフレット中のインタビューで、沙代の死にざまについて「実は悲惨な最期を水木に見せ付けて水木の記憶に残ろうとする沙代の復讐であった」と語られています。やっぱり人間ってそういうところあるよね…と今日のブログの冒頭の話につながるのでした。


読んだ本

村上春樹海辺のカフカ・下』

星野くんの人間性に惹かれる。村上春樹作品はやはり喪失の物語だなと思った。だからこそ「覚えていてほしい、忘れないでほしい」というキャラクターのメッセージが強く響く。「孤独を懐柔するのではなく、自分が世界の一部になる」ことがタフに生きる術だと、他者とのかかわりで学ぶ15歳の田辺くんは何者だ?大島さんの兄が大島さんを「弟」と呼んでいたのがよかった。石/入り口を開ける・閉じる/海辺の椅子など、新海誠村上春樹に影響を受けまくったことに注意を惹かれた。



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そういえばこの間、横浜に行ったついでに工作船を見てきました。想像より大きく迫力がありました。弾痕もはっきりと見て取れ、遺留物も昔のまま残っていたので面白かったです。