狂気の沙汰も萌え次第

雑記ブログのはずが同人女の日記になりました。

2023/2/4(土)歌舞伎の週末

思い立って歌舞伎を見に行くことにした。きっかけは矢島美容室「ニホンノミカターネバダカラキマシター」を聞いていていたとき、「カブキザは歌舞伎町にない」というフレーズで(そういえば歌舞伎見に行ったことないな…)と思ったから。今までも何回か歌舞伎を見に行きたいなと思ったことがあるが、歌舞伎のチケットは取りにくいイメージがあって実行に移したことははなかった。早速ググってみると、普通に空席があって当日券でも行けそうな雰囲気。あえて予約はせず、当日飛び込みで行ってみることにした。

見に行ったのは「女車引き/船弁慶
www.kabuki-bito.jp


用事を済ませてから銀座に向かう。地下鉄を乗り継ぎ歌舞伎座のチケット売り場に到着したのが開演10分前。申込書に必要事項を記入するのを知らず、焦りながらチケットを買い、入口前で音声ガイドを借りる。バタバタと席に着いて1分くらいで開演した。本当にギリギリだった…(周りの方、すみませんでした…)
最初に驚いたのが客席が横に広く、暗転しきらないことだった。3等席Aで見たが、それでも舞台の人が近い。そして薄明かりがついたままなので客席の人が普通に見える。そして舞台の照明がギラギラしてないのに舞台上の人が凛と発光して見える。普通の舞台だと床が黒い床だが、歌舞伎の舞台は木製なせいもあるのかもしれない。そこで「音羽屋!」「中村屋!」(屋号はあっているか分かりません)と大向こうの掛け声がかかる。うおー歌舞伎っぽい!登場のシーンだけ掛け声がかかるのかと思いや、そうでは無いらしく、キメのタイミングで複数回声が飛んでいた。タイミングが完璧で、なんとなくストリップに出現するリボンさんとタンバさんを思い出す。観客参加型の元祖は明らかにこっち(歌舞伎)だが。
女車引の演目、三者三様のしぐさで年の差や性格、立場の違いがわかる。と言ってもこれも音声ガイドがないとなかなか分からないことだった。借りてよかった。「車引」という男性がメインの演目を借り、その女房たちが登場人物となって演じる、いわばパロディ的な作品とのこと。日本人、昔からパロディ好きだな…
いちばん若い子は鮮やかな振袖だったり眉が赤くキリッと描かれていたり、違いが結構ある。途中、台所に立つシーンに移るも、もちろんセットが変わるわけではない。動作のみで表現される。究極のパントマイム…ラスト、振袖の上半分を脱ぎ色襦袢と振袖のツートンカラーになった3人。躍動するように踊るシーンが印象的。華やかな一幕だった。その様を見て(これがほんとのかぶきものか…)と思ったりする。女車引きは20分で幕。テンポがよくて面白かった。


幕間。お弁当やたい焼きを食べている人が結構いる。「幕間に弁当を食べるらしい」という情報は以前から知っていたが、ほんとにみんな食べてる!と少し感動した。これがほんとの幕の内弁当…
そういえば歌舞伎の映像をちゃんと見たのは大学生のときがはじめてで、教養の授業だった。その時、勧進帳を見て「とび六方すげー」と思った記憶がある。あと、こち亀で部長と両津が歌舞伎を見に行く回で、両津にそそのかされた部長が桟敷席から掛け声をかけてしまうシーンがありましたね。私の歌舞伎関連知識はその程度のものです。


休憩の後、2本目の船弁慶が始まる。
源平合戦の後、頼朝の討手から逃れるために九州に向かう義経一行。 やがて大物浦にたどり着くが、人目をしのぶ旅のため、静御前を都に帰すことに。 静は悲しみながらも義経との別れを決心し舞を踊りはじめる――といったあらすじ。
幕が上がるとずらりと並ぶ囃子方の皆さん。それだけで迫力がある。西洋のオペラだとオケはオケピに隠すけど、歌舞伎はドーンと演奏家を後ろに並べるのか。袴姿で整然と並ぶ姿が美しい。全員凛としている、
弁慶の向上のようなセリフで物語がスタート。最初能の舞台のようだった。静御前の化粧が能面のようで、ほとんど表情の変化がない。弁慶も義経も前半はほぼ動かない。そしてセリフが七五調で耳馴染みがよい。静御前の静かな舞がただひたすらに美しい。そして踊りで春夏秋冬を表現するのもすごいな…(これも音声ガイドが無ければ分からなかった。)舞い終わると同時に金の烏帽子が落ちる。名残惜しそうな仕草が切ない。
義経一行が船に乗る場面。「船頭たちが持っている棒は船を漕ぐ櫂を見立てたものです」と解説が入った。ここまでも見立ての解説が多く、全てを舞台上に持ってこない「形式」のようなものを感じた。ここで一瞬イヤホンを外して三味線や鼓の音を聞く。とにかく残響がすごい…計算され尽くした設計なんだろうな。
ラストに隈取の知盛の怨霊が躍り出てきた瞬間一気に沸き立つ。静御前と同じ人が演じていると解説が流れてくる。マ!?青い隈取が気味悪くもかっこいい。隈取=赤のイメージがあったが、青もあるのか。弁慶が怨霊を数珠で退治して幕。最後に花道で躍動する友盛がとてもかっこよかった!!


いいものを見た…というほくほくした気持ちで帰路につく。
思い立ったが吉日、見に来てよかった。やはり0を1にして行く活動が好き。したことないことはどんどんしていきたい。FF10歌舞伎も見に行ってみたい。異界送りの映像が幽玄ですばらしかった。