2022年のありとあらゆるものを勝手にランキングしました。
私が2022年に買ったり見たり読んだりしたものなので、2022年発売のものとは限りません。(むしろそれ以前のものが多い)
本
小説部門
1位 千葉雅也「オーバーヒート」
2位 村田沙耶香「信仰」
3位 パク・サンヨン「大都会の愛し方」
ダントツでオーバーヒートが良かったです。何回も読み返しました。作中に現れる水や魚のモチーフ、「僕達はどこにいくのだろうか?」という主人公の語り掛け、晴人とのある意味透明な関係、最高でした。村田沙耶香「信仰」は最近の宗教問題への注目も相まった個人的ヒット。架神恭介「完全教祖マニュアル」のことを思い出しながら読んだ。パク・サンヨン「大都会の愛し方」はほぼ初めて触れた韓国文学だったが、日本語訳も親しみやすく、ストーリも切なくてよかった。その後何作か韓国文学を読んだが、どの作品も切なさが際立っている気がした。
随筆部門
1位 小沼理「1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい」
2位 宮崎智之「モヤモヤの日々」
3位 最果タヒ「きみの言い訳は最高の芸術」
今年は随筆ブームが来ていると思っていて、中でも2冊はお気に入り。一見代り映えのしない、同じような日々だったとしても、文字でその形をかたどれば後からそっと指をあてたときにその感情の起伏を捉えられる、みたいな体験だった。最果タヒのエッセイを初めてよんだのが「きみの言い訳~」だったが、これもとてもよかった。
短歌部門
1位 木下龍也「オールアラウンドユー」
2位 初谷むい「わたしの嫌いな桃源郷」
3位 枡野浩一(短歌)杉田協士(写真)「ロングロングショートソングロング」
「オールアラウンドユー」は一首一首が極限まで研ぎ澄まされたナイフみたいな短歌。でも不思議と温かさがある。そんな歌集だった。私もこんな短歌を書けるようになりたい。「わたしの嫌いな桃源郷」は一読目は「?」となる場面もあったが、読み返すごとに気づくことが多く、回数を重ねるごとに良さがじわじわでてくるスルメ歌集。佐々木さんの装丁もいい。「~ショートソングロング」は平成に発行されたものだから、平成の空気感が丸ごと真空パックされたみたいな歌集だった。
新書・人文総合部門
1位 千葉 雅也 ,山内朋樹, 読書猿, 瀬下翔太「ライティングの哲学」
2位 スズキナオ「遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ」
3位 千葉雅也「現代思想入門」
「ライティングの哲学」はプロですら(プロだからこそ?)抱える「書けない悩み」をとことん語り合い、向かうべき方向性を示してくれた。「遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ」
の表題作「遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ」はすべての選択を自分じゃいつも選ばないほうを選んでいて面白そうだった。
元記事:遅く起きた日曜日に、「いつもの自分が選ばないほう」を選んで過ごす(スズキナオ) - QJWeb クイック・ジャパン ウェブ
青空文庫部門
1位 太宰治「正義と微笑」
2位 太宰治「右大臣実朝」
3位 太宰治「パンドラの匣」
今年は太宰をよく読んだ。右大臣実朝は「モヤモヤの日々」を読まなければ出会えなかった作品で、やっぱり好きな本は好きな本を連れてきてくれると思った。やはり劣等感を抱える主人公や主(あるじ)を妄信している主人公を一人称で書かせるとピカイチ。
漫画部門
1位 寺沢大輔「将太の寿司」
2位 ピエール手塚「ゴクシンカ」
3位 藤本タツキ「さよなら絵梨」
すごく悩んだけどこの3本で。将太の寿司は中盤からお約束みたいな展開が続くんだけど、そのお約束がなんか気持ちいいんだよね。笹寿司からの嫌がらせもひどすぎるけど、なんだかんだ笹木が将太を認めているっていうのがいい。ゴクシンカは理不尽に対する人間の感情が具体的な言葉で語られているのがいい。さよなら絵梨で改めて藤本先生は二面性のある話の作り方が上手いと思った。
その他
1位 東畑開人「なんでも見つかる夜にこころだけが見つからない」
2位 読書猿「独学大全」
3位 「サカナとヤクザ-暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う-」
「なんでも見つかる~」を読んで、態度や言葉は心の裏返しとして外側に出てきたもので、その根底にあるものはもっと違う気持ちや原体験がもとになっている、ということが分かった。この本が無ければ12月の同人誌は多分でなかったと思う。独学大全では「わからない→あきらめる」のではなくそこからどうやって独学で学びつづけるかのメソッド≒メンタルがわかった。
映画
洋画部門
1位 ブエノスアイレス4K
2位 トップガン・マーヴェリック
3位 ヘレディタリー/継承
今年の夏はウォン・カーウァイにハマっていた。ダントツで好きだったのはブエノスアイレス。ピアソラの音楽もいいし、トニー・レオンとレスリー・チャンがとにかくいい。ナラティブなストーリーではなく、青春の断片をMVのように繋ぎ合わせる手法が良かった。トップガンはIMAXで見てドはまりしてしまった。友情!努力!勝利!因縁あり!空中戦あり!ド派手アクションあり!もう全部好きなやつだった。
邦画部門
1位 すずめの戸締り
2位 映画・フィッシュマンズ
3位 蒼穹のファフナーHEAVEN AND EARTH
すずめの戸締りは直近で見たこともあるけど、全体的なバランスがよかったので1位。まさか新開作品が一位になるなんて…シン・ウルトラマンはそこまで響かなかったのでランキング入りせず。
音楽
ハロプロ部門
1位 アドレナリン・ダメ/つばきファクトリー
2位 笑顔 YES ヌード/モーニング娘。
3位 こんなハズじゃナカッター!/BEYOOOOONDS
アドレナリン・ダメはMVも曲も全部いい!「こういうのでいいんだよ…」の最上級が来た感じ。笑顔YESヌードはちぃ卒コンで聞いてからすっかりはまってしまった。ちぃちゃんのハスキーな声とあってたなぁ。こんなハズじゃなかったー!はリリース当時も聞いていたが、今年に入ってから辛い時にずっと聞いて励まされていた。
HIPHOP部門
1位 PUNPEE・加山雄三「お嫁においで」
2位 スチャダラパー・電気グルーヴ「聖☆おじさん」
3位 METEOR「ラッパーの集まり遅刻OK」
加山雄三の優し気な声と、PUNPEEの力の抜けた声がめちゃくちゃマッチしている。MIXもリリックもすごくいい。全体を通して加山雄三へのリスペクトが存分に感じられる「加山雄三の世界」は名盤だと思う。
METEORの「しかしあれだな」を聞いて「HIPHOPってこんなに自由にリリック書いていいんですか!?」と思った。
作業用BGM部門
1位 アストル・ピアソラ「Oblivion」
2位 Gary Borton Quartet,Eberhard Weber「Sea Journey」
3位 チック・コリア「Crystal Silence」
アストルピアソラは自分がもう一つ推してるCPのイメソンでもある。ピアソルは昔から好きだが、今年は王家衛・ブエノスアイレスを見た影響もありかなり聞いていた。チックコリアは荻上チキ・SessionのECMレコード特集で知った。それ以来ECMレコードの曲を繰り変えし聞きながら小説を書いた。
買って良かったもの
大物部門
1位 ドラム式洗濯機(アイリスオーヤマ HDK832A)
2位 IKEAテールナビー(テーブルライト)
3位 アラジン トースター(2枚焼き)
洗濯ものを干す作業&部屋干しの匂い&湿気が本当に嫌だったので、ドラム式を購入したことで煩わしい作業が一気に無くなったのが本当に良かった。乾燥機能のせいで電気代は微増したが、手間と清潔を金で買ってると思えば全然気にならない。タオルはふわふわだし、文句なし。
アラジンのトースターはふるさと納税でもらったもの。トーストのサクサク感がダンチです。