狂気の沙汰も萌え次第

雑記ブログのはずが同人女の日記になりました。字書きが高じて今の肩書は記者です。

ねこクラゲ氏の脱税疑惑報道に対する考察

薬屋のひとりごと』コミカライズ(ビッグガンガン版)作画担当者・ねこクラゲ氏の脱税疑惑ニュース。

www3.nhk.or.jp

無申告加算税(無申告に対するペナルティ)に加え刑事告発(脱税行為に対する訴え)*1されたとなるとかなり悪質とみなされたのでは…と思い、経緯を調べた。


>福岡国税局によりますと漫画の作画収入などで得た2021年分までの3年分のおよそ2億6000万円の所得について税務申告を行わず所得税およそ4700万円を脱税した疑いがある(NHK

www.sanyonews.jp

国税局によると、脱税した金は不動産購入などに充てていたという。告発は2月29日付。(山陽新聞



真っ黒じゃないですか!!!


①単純計算で毎年9000万近い所得があったのもかかわらず確定申告をしなかった(一部申告漏れ、申告不備ではなく一切申告していない)
②所得で不動産を購入していた


①と②の合わせ技で「知らなかったテヘヘ」=善意だったとはいえ重過失とみなされる要件は十分に満たしている思います。不動産の購入時に所得証明を提出するでしょうし、不動産取得税や毎年の固定資産税などの支払いで、税金に触れる機会はいくらでもあるからです。また毎年冬になるとフリーランスの方々は嫌でも確定申告に追われ、SNSなどでも話題に上がります。CMや広告でも確定申告やe-taxを見る機会は非常に多いです。

それでも「自分には関係ない」とずっと思えるのが、純粋に疑問です。故意だったのではないかと疑われても無理はないと思います。どちらにせよ、脱税をする人の感性はわかりません。いずれにせよ必ず後でバレて痛い目を見るのは明らかですから。


「税金に関して無知であったため確定申告を怠っていました」というワードがかなり引っかかりました。これは後述します。




今回のニュースを見ていてマルサが仕事したな~くらいに私は思ったのですが、ネットではそれ以外の意見が散見されました。


①2年前のことを今更蒸し返すなんて
②ちゃんと後から税金を納めたからいいだろ
③政治家の裏金はスルーしてるのに漫画家は告発するんですね
④上記に関連したマスコミ叩き


どの意見も、そういうことじゃないだろ…と思いながら見ていました。


①2年前のことを今更蒸し返すなんて
刑事告訴されたのは今年の2月29日


②ちゃんと後から税金を納めたからいいだろ
→盗んだものを返しても窃盗の罪がチャラにならないのと同じで、窃盗行為自体が罰せられるように、脱税行為に対する罪が課されます


③政治家の裏金はスルーしてるのに漫画家は告発するんですね
→本件はマルサの見せしめ的な告発であるかもしれません。しかし、政治家であろうと社会に影響力を与えている文化人であろうと、脱税は脱税で等しく悪いです。比較するものではありません。論点をすり替えて犯罪行為を擁護する、または助長していませんか? 


④上記に関連したマスコミ叩き
→報道はどれも刑事告訴を元にしたもので、正当性のある内容です



これらの意見を見て思うのは、日本の税金に対する意識の低さです。通常、会社員や公務員として働く人であれば所得に関する税金のほとんどは所属する会社・団体を通じて給料から自動的に天引きされます。問題はここです。税金を払っている自覚はあっても、その税金がどのような意図で、どのように計算され、どのように徴収されるかを理解している人は少ないのでしょうか。税金以外の事象でも「知らない=ないがしろにしてよいもの」という認識があるように思います。


ここからちょっとぼやき。
国税局と内閣・国会をごっちゃにしてる人が多い気がする。国税局は税法に従って適切に税金を徴収する機関です。税率の変更などの決定権はありません。


ねこクラゲ氏は「税金に関して無知であったため確定申告を怠っていました」というコメントを出していました。上記のようなネットの意見を見ていると、ねこクラゲ氏は悪意ではなく「税金に関して無知であった」という善意に他ならないのではという気持ちになってきます。そのリテラシーの低さが正直恐ろしくはありますが。



しかしねこクラゲ氏は2010年に商業誌でデビューしており、納税を怠りはじめたとされる2019年以前にも漫画を描いて所得を得ていたと考えられます。デビューから10年以上経っても確定申告の必要性を知る機会は本当になかったのでしょうか? 「薬屋のひとりごと」以前の確定申告の状況は報道からはわかりませんが、この8年間に対する無申告は比較的少額だったとして、無申告加算税は課されなかったのかもしれません。(※所得が少額でもフリーランスでやる以上確定申告は必要です)




税金は義務教育で教えるべきか

小中学校は学習的な教育機関であり生活訓練校ではありません。もちろん学校生活を通じて社会性を学ぶ場ではありますがそれ以上の役割は持ちません。税金について教えるとなると、婚姻や離婚、戸籍、登記などあらゆる社会システムを教えることになり、教育機関としての本質が損なわれると私は考えます。


税金の知識は学校で教わらなくても、税金について学ぼうと思えばいくらでも学べます。インターネットでも、本でも、パンフレットでも、情報はいくらでも無料でアクセス可能です。「学校で教えろ」と声高に叫ぶ人はおそらく、はなから税金について学ぶ気がないのだと思います。


無知なサラリーマンでも税金を納め、生きていくことは十分可能です。正しく天引きされるおかげで脱税にならないからです。おそらく今後も税金について義務教育で教えることはないと思います。税金に無理解な大人が多い方が、国は都合がいいですからね。


実質脱税できてしまうシステムは見直しが必要

だからといって今回のような脱税が起きていいと言ってるわけではありません。今回の件で何が悪かったか? と聞かれたら「確定申告というシステムそのものに脆弱性があるのが悪い」と答えます。そもそもの仕組みが悪い。
自動徴収にせず申告制のままにするにしても、申告対象者となる人がリスト化され、申告が徹底されるよう通知を出すなどの仕組みづくりは必要だと思います。特に創作・同人界隈は課税要件を満たしているにもかかわらず申告の必要性を理解していない人が非常に多く見受けられます。この辺の意識改革も必要です。


税金は正しく納めましょう。

*1:なお、起訴された場合の有罪率はほぼ100%