狂気の沙汰も萌え次第

雑記ブログのはずが同人女の日記になりました。

雨のごきげんピクニック[2023/5/14(日)]

ピクニックの約束をするとだいたい雨が降る。前の晩の時点で雨予報が濃厚だったため、屋内で遊ぶことになった。
この日は朝から小雨が降ったりやんだりという天気で、家を出たときは降っていなかったが念のため大きめの傘を持って移動。電車に乗っていると「ワンチャンいけるかも?」と雨雲レーダーのスクショが送られてきた。大きな雨雲が公園のある街一帯を綺麗に避けていくらしかった。自宅からピクニックセットを持ってきていなかったので、駅ビルでレジャーシートとお弁当を買い、公園へ。雨の日曜日の公園は閑散としていて、今まで訪れた中で一番空いていた。好きな場所を取り放題だったので、雨除けを兼ねて木の下に陣取った。
今日のお弁当はキンパとヤンニョムチキン。海苔巻きって行楽っぽくていい。キンパはクリームチーズが具として巻かれているもので、チキンは黒酢と青唐辛子を使用したものだった。いつもと違う味が面白い。今日はがっつり準備しなかったことがかえってよかったのかもしれない。助六寿司が好きなので、次回はそれもいいかも。
食べながら最近見た映画の感想などあれこれ話した。買ったシートが1~2人用の小さいシートだったので二人でぼーっと同じ方向を見る。じっとしていると結構寒い。中にもう一枚来て来ればよかったと思う。途中、サーッと雨が降り出した。生い茂った木の下にいるのでほとんど濡れることはない。木陰からぼんやり雨が白く煙るのを見る時間がよかった。やっぱり雨がいちばん好きな天気である。



雨が強くなる前に移動。公園の隣にあるPLAY!MUSEUMで『谷川俊太郎 絵本★百貨展』を見る。「PLAY!」の名の通り、子供が遊べる体験型の美術館で、定期的に絵本の企画展を行っている。谷川俊太郎スキーとしては見ておきたい!と思ったので、来れてよかった。けんけんぱしたり、穴をのぞいたり、くぐったりする展示があり、こりゃあ一人で来ると気恥ずかしさが若干勝る奴だったなと思った。大人だけどけんけんぱして遊びました。
谷川俊太郎の言葉はシンプルなのにグサグサ突き刺さる。戦争を経験した世代の重みがある。谷川俊太郎の本を読むと私はいつも涙が出そうになるのだけれど、展示を見ている間、ずっと喉の奥が重くなっていた。知っている本もあれば知らない本もあった。特に「もこ もこもこ」の谷川さんの朗読つきの展示がよかった。円形のスクリーンに囲まれる場所でヨギボーに寝ころびながら朝焼けの山並みのようなイラストを見た。ページという制約がなくなると絵本はこんな風になるのだと思った。文字ではなく音声で「わかる」、子供の気持ちにも似た体験だった。最新作の『ここはおうち』の原画を見て思ったのだが、原画の色と印刷の色がほんのわずかに違う。リアルとCMYKの壁…生原画の鮮やかさのパワーはやっぱり違う、としみじみする。
展示作品をトリガーに、昔読んだ俊太郎さんの絵本の記憶を引き出しながら嬉しいような切ないような気持ちで帰路に就いた。

この日の会場は結構空いていた。はじめは雨だからか?と思っていたが、価格に対し展示のボリュームが少ないことも起因しているように思えた。展示の一つ一つは手が込んでいてとてもいいのだけれど…よっぽど気になる展示がない限り再来のハードルは高い。来場記念に俊太郎さんの言葉が印刷されたトイレットペーパーをもらったが、持参した鞄が小さくて入らなかった。さすがにトイレットペーパーを裸で持ち歩くのがはばかられたので、限定デザインの紙袋を購入した(これしか売ってない)。この時ほどエコバッグを持ちあるこうと思った日はない。が、多分今後も持ち歩かないと思う。買い物の度に5円の買い物袋を買っている人間が、1000円のエコバッグのもとを取るには200回買い物しなければならない。畳んでバッグに入れる手間もあるし、汚れたら洗濯の手間も発生する。「サステナブル」がどうとかいうけど、そもそもエコバッグ作るにも石油資源使ってるからな!? どうせゴミ袋用のビニール袋は必要なんだし、このまま私は5円の買い物袋を買い続ける。

何かを思い出せば言葉になり、その先には誰とはっきりしなくとも、誰かが宛て先らしく立つ。どんな楽しいことでも、思い出すという行為のなかには、必ず少しの寂しさがあって、当たり前だが寂しさは過去形のなかにしかないし、誰かに向ける言葉も過去形のなかにしかないが、過去がなければ幸せだと感じることもたぶんなく、寂しさも幸せも思い出す愛着の影、と絵手紙に書きたい二〇一七年でいちばん寂しい日だった。

滝口悠生『長い一日』

最近はよくこの一節を思い出す。今日の一日も、過去の寂しさを今の楽しさで上書きして、寂しさに含まれる悲しさや怒りを中和しようとしているようだった。

万有引力とは/ひき合う孤独の力である/宇宙はひずんでいる/それ故みんなはもとめ合う

谷川俊太郎『二十億光年の孤独』

今村夏子「むらさきスカートの女」

芥川賞受賞作。はじめは「むらさきスカートの女」がいかにおかしな人なのかを神視点で探っていく話だと思ったが、語り口の主語が「わたし」になり、神から一人の視点としてピントが合っていく感じが怖かった。はじめはむらさきスカートの女=異常(窃盗、横領、不倫?)、主人公=正常、と思い込ませるテクニックがすごい。一つのバイアスだと思った。主人公の黄色いカーディガンの女の方がストーカーじみていてよっぽどヤバい人だった。「むらさきスカートの女と友達になりたい」と言っていたように、似た者同士なんだろう。むらさきスカートの女から殺されかけた所長は「脅されてデートしていた」と言っていたけど、それも本当か分からんなぁと思う。
挨拶練習のシーンのうすら寒さがすごい。「とんこつQ&A」を読んだときも同じような感想を抱いた。今村夏子の気味の悪さはクセになりそう。本筋には関係ないけれど、ゲスト用にフルーツを置くようなグレードのホテルの清掃って大変そうだなぁと思った。

www.youtube.com

久々にお酒を飲んでおいしかったです。転職祝いに買っておいた高畠ワイナリーのロゼスパーリングをまだ開けていない。初出勤の週の華金までとっておこうかな。