狂気の沙汰も萌え次第

一応、オタクです。

涙が出る[2024/11/11(月)]

やむにやまれぬ事情が発生し、先日約2年振りに地元に帰った。羽田の国内線ロビーは大混雑だったが、保安検査場を抜けてしまえば割と空いていた。保安検査場を抜けても飲食店はあるが、だいたいロビーの飲食店で食料の調達をしてしまう。蕎麦屋とかラーメン屋とかタリーズとか、そういえばあったなーと思いながら横目に通り過ぎる。お土産品なんかは搭乗前に買った方が便利だと思った。
無料で手に入れたセゾンゴールドカードでラウンジを利用した。りんごジュースが美味しかった。軽食やビールは有料だった。夕方の便だったので、ちょうど夕焼けが見えた。西日は眩しかったが綺麗だった。
北に向かって飛ぶと関東平野の明るさに驚く。今日は雲一つない快晴のため、どこまでも夜景が見える。東の遠くに見える筋のような光は多分新潟で、さすが政令指定都市だなと思った。


用事を済ませてそそくさと帰る。周りの人は思ったより優しくて、申し訳なかった。帰りの新幹線では柄にもなく悲しくなってしまい、しくしく泣いていた。カバンにハンカチは入ってるはずだが何故か見つからず、ひたすら袖を濡らした。泣いたらお腹すいたので、シンカンセンスゴイカタイアイス(本物)を食べた。シンカンセンスゴイカタイアイスはもうJR東でしか食べられない。新幹線を降りてからも最寄り駅に着くまでしばらく時間がかかるが、その間で本を読む気にも何かを書く気にもなれなかった。
気が抜けたのか、次の日に高熱を出して、1週間ほどダウンしていた。辛すぎる。緑色の鼻水が出続けるので、ずっと治りかけみたいです。

最近思うことは、学生時代は運動するのにお金がかからなかったなぁということです。大人になると体育館でバスケをするのもグラウンドで走るのにもお金がかかる。その点、学生は無料で基本使い放題なのですごい(球技に関しては部活か授業でしか無理だけど)。普段道をランニングしていると、車の通らない、整備されたグラウンドが恋しくなる。


読んだ本

長井短『ほどける骨折り球子(たまこ)』

強さと弱さをめぐる男女の「守りバトル!」
面白かった!性別で守る/守られるが固定化されつつある この世の中で、主人公は「やさしくされる→自分が弱い存在だと思われている→むかつく」という思考回路の持ち主。それが思春期の頃から表に出されることなく、溜(た)め込まれている。夫の勇はだけどやさしくしかできない性格で、やさしくすることの何が球子を傷つけるのか分かっていない。
肉体的なパワー差があるので仕方ない部分もある。けど、球子の言ってること、オラすげぇわかるぞ!!!と思った。

夏葉社編『ブックオフ大学ぶらぶら学部』

武田砂鉄やライタ、古本屋の人がブックオフの思い出を語る本。
「わざわざブックオフで買ったと言わなくていい!」の話題でおなじみのブックオフ。もちろん自分も中学生の頃からずっとお世話になっている。特に学生の頃は新刊で買う金がなかったので古本をかなり買っていた。昔は漫画ばっかり見てたけど、今は漫画以外の棚ばかり見ている。ブックオフはたのしい。そして青木まりこ現象でトイレに行きたくなる。


観た展示

ワンダフル猫ライフ 朝倉文夫と猫、ときどき犬@台東区立朝倉彫塑館

初めて朝倉彫塑館に行った。彫刻より感動したのが建物!!!!!和洋折衷な建物が素晴らしい。建築家は誰!? と思ったら朝倉自身が設計したらしい。アトリエは天井が高く、太陽光が差し込む設計となっている。黄金色のぬりかべの色がなんとも美しい。


www.youtube.com

ラランドの「もしも酒がコーラだったら」を見た。酒をコーラに置き換えるだけで、酒の席の異常性が浮き彫りになるのですごい。確かに何杯もコーラ飲むのきついし「寝る前にコーラ飲まないと眠れないんだよね!」とか言われたら「えぇ…」ってなるわ。自分は家に酒はあるが、なんだかんだ家では酒風ノンアル飲料しか飲まないし(酔っぱらうのが嫌)、外でもあまり飲まなくなった。だからこそ「家で飲んだりしないの?」のうざさはよくわかる。
あとサーヤの近くにアメスピと灰皿が置いてあるのが映っていて、「これ誰の?ニシダの?」と思ったら、サーヤのだった。それが結構衝撃で「そうなのか!」と思ったけど、サーヤが黄緑のアメスピって「なんかすげぇわかるぞ」とも思った。サーヤは愛煙家であることを公言していて、煙草に関するインタビューなんかも受けている。自分も紙巻き派だったので、すげぇいいなと思った。

仮理想100%[2024/11/1(金)]

転職活動で一番面倒くさいのは転職サイトごとに職務経歴を入力しなければならないことだろう。一度書いてしまえば他のサイトで使いまわすこともできるが、サイトごとに記載形式が違ったり、文字数が制限されていることもあり、それが結構面倒くさい。

思い出せる範囲で転職活動で大事なことを備忘録的に記しておく。
・エージェントの意向に流されない
・「入れる会社」ではなく「働きたい会社」を見つける
・面接は受かるための試験ではなく、双方のすり合わせ(仕事の内容、待遇、職場の雰囲気、環境、などなど)
・そのためには自分が譲れない条件、したくないことを明確にしておく
・勝ち気で行け
・とはいえ100%理想にマッチする会社はないので、どのくらい妥協できるかを考える

転職活動中はどうしても近い未来のことしか考えられなくなるので、できれば1年後、3年後のビジョンを持つ。まぁ自分も出来てないけど…。持ったところで募集要項に書いていないことを平気で要求したり、入社前の約束を守らない会社もあるので、思い通りにはいかないかもしれない…。ブラック企業を駆逐しなければ(使命感)

とにかく、転職エージェントを利用すると、エージェントはインセンティブ欲しさに何が何でも転職させようとしてくるので注意が必要です。私がこの前面談した時は「良い会社があれば転職したい。今すぐ転職は考えていない。」と言ったのに、面談の最後の方では「来週には応募を開始して1か月後には内定をいくつか揃えられるようにしましょう!」と言われた。向こうは商売なので仕方ないが、話聞いてた?と思わなくもない。


私の思う良い会社=理想は何だろうか? と考えても全然分からない。良い会社ないかなーと仮の理想に意識を飛ばしているときがいちばん幸せなのかもしれない。基本的には最悪死ねばいいやと思って生きているので、奔放に生きられている部分はある。そもそもひきこもれる家もないし働かないと物理的に食っていけないので働き続けるしかない。


たまに街で見かける「目指せ正社員雇用!」っていうのを見ると、正社員で働くってそんなに難しいことなのか…と思う。自分は職探しの時点から派遣や契約社員のことは完全に頭に無く、ひたすら年休120日以上のそれなりに金が貰えるまともな仕事で探す。そうするとだいたい正社員しかヒットしない。なぜ金を貰いたいかと言うと、奨学金の返済などがあるからですね…
ただ自分が正社員として働けているのも五体満足かつある程度若いからだし、いつ何かの拍子に非正規雇用人生が始まるとも分からない。「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した」を読んで、これが未来の私かもしれないという気持ちになった。これは今に始まった話ではなくて、ずっと思っていることだ。非正規を見下しているとかではなく、いつ自分が過酷な環境にぶち込まれるかも知らんという恐れである。
街を歩いているとどう見ても70代の人が真夏や真冬の厳しい環境下で交通整理をしてたり、ビル掃除をしてたりする。そういうの見ると、結構心にくるものがある。もちろん働きたくて働いてる人もいると思うが、だいたいの人は生活のために何とか鞭打って働いてると思うし…おじいちゃんおばあちゃんの野外労働は農作業程度で済むようにして欲しい。というか、田舎のおじいさんおばあさんは農作業が、都会の交通整理にあたるのか?と思わないでもないが、生活の深刻度合いが違うような気もする。
とはいえ農作業やってるお年寄りも体力すごいよね。しゃがんだり中腰で作業とか、私よりベテランの農家さんの方が絶対上手いし体力もある。

前から思うけど、自分は年寄りがないがしろにされてるのを見るのが本当に辛い。なぜなら、年寄りは今生きてる人間の未来の姿であり、そのないがしろの矛先が自分自身に向く時がいつか来るんじゃないかと思うからだ。
だから高齢者を狙った詐欺とか強盗の事件を見ると結構本気でつらい。


読んだ本

松本俊彦『世界一やさしい依存症入門; やめられないのは誰かのせい? (14歳の世渡り術)』

「〇〇は体に悪いからダメ!」「自分を大事にしなさい!」みたいなことを言うのは簡単だが、当事者にとっては、辛いことを乗り越えるために"今"必要なのものが依存先なんだよなぁ…というのはものすごく分かる。あらゆるものへの依存を頭ごなしに否定するのではなく、その仕組みとプロセス、対処法を易しく解説している。筆者が「実は僕もタバコ依存症です」と打ち明けてくれているのも、とても信頼できる態度だと思った。
「親から十分に愛情を貰えない人、ショッキングな体験をした人が依存しやすい傾向がある」こともこの本を読むまで知らなかった。
特にスマホ依存は「辛い現実から逃げるための逃避手段」と言われていて、身に覚えがありすぎるなと思った。
14歳の世渡り術は大人も読んだ方がよいシリーズ。かなり分かりやすい。

ジェームズ・ブラッドワース/著 濱野大道/訳『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した-潜入・最低賃金労働の現場-』

イギリスの最低賃金労働最前線ルポルタージュ本。昔倉庫のバイトをしたことがある身としては、やっぱりアマゾン倉庫の話がパンチがある。比較的安価に食べられる社食はあるけど休憩時間がクソ短くてかき込むように食べるとか、夜勤から帰ったら疲れて何もできないとか。ウーバーでうまく稼げない仕組みになっていることは勉強になった。
効率性を重視している資本主義社会だからこそ人間を機械のように扱っている状況がまかり通っている。日本も同じ。



一時は難航するかと思われた文フリの原稿もあらかたうまくまとまった。回数をこなせばやはり慣れる。

東海汽船のフリーツアーで行く!秋の伊豆大島・三原山登山

東海汽船のフリーツアーを利用して伊豆大島に行ってきました。

ツアー内容
往路夜行客船(特二等)
バス一日乗車券
朝食(バイキング)
昼食(お膳)
入浴(朝昼2回)
復路ジェット船

これらがコミコミ13800円!!安いよ!実際、伊豆大島でお財布を出すタイミングはお土産物を買うときだけだった。

22時に竹芝桟橋を出発の予定でしたが、この日は船の設備故障があった関係で1時間出航が遅れました。こんなこともあろうかと、switchを持ってきていたので待合室でゲームをして過ごしました。

特二等は初めて乗ります。2段ベッドになっていて、プライバシーもきっち守られる。そして心なしかベッドの寝心地がいい!小笠原丸は二段ベッドに薄いマットレスだったが、さるびあ丸はマットレスが厚く、快適。小笠原丸もこれにしてくれーーーと思った。

頭の所には鍵付き棚もある。ありがてえ!ライトのところには小さい棚とコンセントもある。


連休のためかいつもより船内は混んでいる。それでも満席にはなっていないので、改めてさるびあ丸のデカさに驚く。釣り大会があるらしく、釣り道具を持った人がたくさんいた。自転車を輪行しているひともちらほら。


23時半くらいに就寝。あっという間に5時半のアナウンスで起こされて身支度をした。大島の場合、寝てたらすぐ着くのでゆったり船旅、という感じでもないのが面白い。

朝6時に大島岡田港に到着。そのまま港から出ているバスに乗り、三原山山頂近くにある大島温泉ホテルへ。ツアー客には宴会場の部屋が休憩室として用意されており、ありがたい限り
荷物を置いたら源泉かけ流しの温泉へ!!すごく静かでいいお風呂でした。山頂は雲の中に入ってしまって、全然眺望はなかった。晴れてたら三原山が一望できるそうです。

朝食バイキングは素朴な和食がメインのバイキング。いちばんおいしかったのは味噌汁です!!!カツオとも違う魚の出汁がなんともおいしく、塩加減も絶妙(味噌の塩気ではなく、海っぽい塩気)。3杯も飲んでしまいました。

朝食を終えたらバスで登山口まで移動。ホテルは荷物は自己責任で休憩室に置くか、有料でフロント預けができるそうです。(私は着替えなどを休憩室に置いていった)



7分ほどで登山口着きました。

周りは見渡す限りの低木、そして円錐状にこんもり膨れた山。かっこいいです。だいたい40分くらいで山頂まで行けるらしいですが、あんなに遠くに40分で行けるんだろうかと思いました。



見渡す限りこの木が生えてる。
山頂までの道は舗装路なので逆にちょっと疲れる。(表砂漠コースは未舗装)




途中、火山活動の様子がわかるスポットがチラホラあった。溶岩が冷え固まって模様みたいになってたり、あちこちに溶岩の塊が落ちている。


山頂が近づくにつれ、遠くがよく見える。出発地点にあるビジターセンターや、海、うっすら伊豆半島も見える。




山頂付近の三原神社に到着。ここから火口付近まで行きます。山頂も火山らしいゴツゴツした溶岩がたくさんあります。

御鉢回りをするコースに戻ると海からの風が一気に強くなる。帽子が飛ばされそうになるのでウィンドブレーカーのフードを被った。

火山の火口。あちこちから湯気が出てるのが見える。


しばらく歩いて山頂標タッチ。


登山道のすぐ脇からも湯気が出ている。触るとしっかりあたたかい。砂風呂とかしたい。



山を降りて裏砂漠方面へ。まだ10月上旬だったのですすきはまだシーズンではないかな?と思っていましたが、ばっちり生えていました。やったね。



裏砂漠に行くまでの道でコーヒータイム。




裏砂漠は真っ黒い砂漠だった。かっこいい。





やがて森になる道はだんだん植生の高さが変わっていってすごかった。伊豆箱根楽しすぎるッピ!!!ジオパーク行きたい。



歩いてホテルに到着。お風呂でサッと汗を流した!!キモチェー。晴れていたので朝は見えなかった三原山がバッチリ見えた。


お昼ご飯!!お刺身やすり身の煮物がうまかった〜!そしてまたしても味噌汁が絶品!汗をかいたあとなので余計に美味しく感じる。ご飯も味噌汁もおかわりして食べた。



帰りは元町港から出航。港の前には土産店などがあり、賑わっていた。お土産に明日葉茶、大島の塩、牛乳煎餅を買いました。

ジェット船は乗り降りの際結構揺れるので、満腹状態で乗るのは危険だと思った。走り出してしまえば全然大丈夫。いつの間にか寝ていた。


そして竹芝フェリーターミナルの売店では小笠原母島産のはちみつも買いました。普段使いするものをお土産で調達するとめちゃくちゃハッピーになる。
母島のはちみつは色が濃くて、フルーティーな風味でおいしかったです!

東京に帰ってきたどー。


DATA
タイム:3:16(休憩時間除く)
距離:8.7km
のぼり:298m
くだり:353m


とっても楽しかったので、また行きたいです。今度は泊まりがけで!

はやくめっちゃホリデー!になりたい[2024/10/28(月)]

最近はJR東の新幹線でどこかにビューンに行こうと思って毎日ガチャを引いているが、何回やっても出身県に行く路線を引き当ててしまい鬱になる。1年くらい前からずっと行こう行こうと思っていたが、どこに行くにしても真夏と真冬は避けたい…と思っていたところ、近年異常気象も相まって全然行けずに今に至る。今のところ2回分のポイントがたまっている。

1月2月は暇なので思い切って1月の東北に行くか…クソ寒いことは嫌でも知ってるけども…越後湯沢に当たればスキーし放題だし、それはそれでいいのかもしれない。ただ、辺鄙なところにあたるとだいぶ大変な目に合うことは確かなので(公共交通機関はあてにならず、レンタカーの雪道運転が必須)かなりガチャ要素が強い。温泉でのんびり…もいいけど、まずその温泉にたどり着くハードルが高い。どこでも送迎車があるわけじゃないし。
むしろ新青森に当たったら雪!!って感じの景色が見られて楽しそう。ローカル線にも乗ってみたいし。
季節問わずに行きたいのは秋田と青森、長野。きりたんぽ鍋食べたいズラ。逆に南東北と新潟は行かなくていいかな…(散々行ったし、大体何があるかわかるので)

12月になれば雪も降るしとにかく11月のうちに時間を作って行きたいものですね!2回目は冬でも春でもいいし。泊まりで行きたい気もするけど、昨今のホテル事情を考えると日帰りでいいか…という感じもする。本当に行先次第だけども。どちらかというと、金銭面より泊りがけでどこかに行く精神的余裕が今ないのかもしれない。

関連して空の旅の話。今4万マイルくらいたまっているので飛行機だと国内どこでも2往復でできちゃうのだが、こちらもなんとなく行けていない。エイヤで日程を決めていかなければいつまでたっても行かないのだろうな。決して出不精というわけではないのだが、旅行嫌いの家に生まれたことも相まって遠出を計画するのが苦手だ。とりあえず稚内にいきたのだが、冬は運転面に不安があるので結局南の方に行くことになりそう。とにもかくにも、とこに行くにしても文学フリマの入稿が終わってからの話になると思う。新刊は加筆をたくさんしました。


先週は期日前投票に行ったりした。投票所を出ると呼び止められて、出口調査か?読売なら自民って言って乱数発生させようかなと思ったけど、ヤクルトの勧誘だった。断っても引き止めがすごいんでガッツがあるなと思った(結局契約はしなかった)。こういう営業の人たちってお給料どのくらい貰ってるのか普通に気になる。
仕事はまじで今難航してて、たぶん年明けには辞めるんじゃないかなというかんじです。ほんとにめっちゃHolidayになりそう。


読んだ本

小野和哉、かとうちあき『今日も盆踊り』

全国各地の盆踊りのレポ本。地元の人の話を聞き、地域や風土、歴史や文化を知る。佃島の盆踊りを見た筆者が「爺が太鼓とマイクパフォ―マンスで盛り上げるこれは…クラブDJだ!」と言っていて、その例えすげぇわかるぞ!と思った。青森のキリストの墓の近くで開催される奇祭「ナニャドヤラ」が死ぬほど気になる。私もいつか郡上の徹夜踊り行ってみたい。
池袋の白鳥おどりで会った外国人の女性が「もともと東京に住んでいたんですが、郡上踊りが好きすぎて郡上に移住しました」と言っていて、いろんな人を虜にするんですよ!盆おどりは!と思い出した。


河出書房新社編『見た目が気になる: 「からだ」の悩みを解きほぐす26のヒント (14歳の世渡り術)』

この本が出された2021年はコロナ禍でずっとマスクをしていたこともあり、余計に美醜に敏感になっていたように思う。美容整形に1200万かけた整形アイドル轟ちゃんの文章と、「安易に整形するのはやめましょう」派のえらいひとの文章がならぶのはなかなかスリルがあった。轟ちゃんの「私は外見主義の世界を間違いなく見てきたのに、在るものをないと言われるのは苦しかった」は本当にそう。
川村エミコさんの小学校時代のエピソードがとてもよかった。

こういう本が私の子供時代にあったらなぁと思った。「見た目は関係ない。たった一人のあなた」的なこと言われてもはぁ~?だったし。をルッキズムって今に始まったことじゃなくて、ずっと昔からあった。女子が男子に見た目をバカにされるのなんて日常茶飯事だったし、親からだって散々言われた。そして人の見た目に口出ししてくるのは「鏡見たことある?」な身だしなみもできてないようなやつばっかり。「お前は見た目が悪いから中身(学力、性格)で勝負だ」というのが当たり前のように親から言われていた自体がちょっと前まで当たり前にあった。自分は大した整形はしてないが、めちゃくちゃやって良かったと思う。


あとヤンマガで連載中の武田スーパー「誰でも抱けるキミが好き」がすげぇおもしろいんですけど、この話はどこですればいいんですかね。

金木犀はいい匂い[2024/10/18(金)]

金木犀の匂いで起きた。窓を開けるともっと金木犀の匂いがした。どんだけ気密性の低い家なんだ…と思った。最近連続強盗事件が世間を騒がせているので戸締りは本当に気を付けたい。
金木犀の香水やクリームなどを店頭でよく見かけるが、やっぱり本物にはかなわないなと思う。そういえば3年くらい前は一年で3回くらい金木犀が咲いた年があった。9月から10月にかけてずっといいかおりがして、あれは本当に幸せな日々だった。自分の家の庭にも金木犀を植えようかな。
朝晩はだんだん冷え込むようになってきたが、それでも半袖に薄い羽織で過ごせるくらいには暑い。厚手の秋服はまだ全然着れない。衣替えをする気が起きないくらいにはまだ夏を引きずっている。マジで日本は常夏化してしまったんですか? 


先週末に伊豆大島に行った。とても楽しい旅行だった。往路は夜行船に乗って、早朝に大島に着いた。温泉に入って朝食バイキングを食べて登山をしてまた温泉に入ってまた船で帰った。ずっとこれがいいや~~…という感じの小旅行だった。火山の景色がとてもかっこよく、相変わらず海は綺麗だった。大島は思ったより都会で、今度泊りがけでサイクリングしたいなと思った。
この前30代になったばかりなので20代を総括するのはまだ早いだろうが、20代(特に20代前半)の頃は、とにかく体力が有り余っていてそれがつらかった。そのくせお金がなくてどうにもならないことが多く、ただ時間と体力を無駄にしていたような気がする。今思えば、金がなくたってできることはいくらでもある(勉強、)が、それをしなかったのは紛れもなく自分である。最近は時間と金と自意識のバランスがいい感じに取れてきて、割と落ち着いた日々を送っている。これが不惑?(10年早い)とはいえ、この先気力体力は目減りしていくだけなので、技能や資格の取得はいまのうちにやっていきたいなという気持ちはある。
しいて言うなら、副業禁止とかいう日本型企業のクソ規定がなければバイトとかしたのになーと思う。給料安いくせにいっちょ前に副業禁止にしてんじゃねーーーよ。とはいえまだまだ本業を頑張る方が稼げる世の中なんですけど…



今日、帰りがけにプールに寄りたかったが、プールの道具を持ってきていないため断念。今度から職場のロッカーに入れておこう。そして明日は歯列矯正の調整日のため、今晩はカレーチャンスの日。ココイチでカキフライカレー(ハーフあさりとほうれん草をトッピング)を食べた。衣がサクサクでおいしい。ココイチは本当においしいカレー屋です。そしてお冷が本当においしい。口当たりがまろやかな水なのが本当にうれしい。次回は期間限定のThe牛咖喱かカシミールカレーを食べたい。図書館で本を返りてから帰った。

名前間違い問題

昔からめちゃくちゃ名前を読み間違えられる。
私の名前を「渡里佑貴(わたりゆき・仮名)」だとすると

渡利(ワタリ)さん
渡邊(ワタナベ)さん
石渡(イシワタ)さん(佑の右を「石」にしてからあべこべに読む。意外だがこれも多い)
ユウキさん(男)
タスキさん(男)
ユタカさん(男)

こんな感じで間違えられる。字面が男っぽいので、書面やメールでやりとりしているひとと初めて会うと「女性だったんですね」と言われることが多い。Yuki Watariと署名を入れてもこのありさまなので、署名なんてみんな見てないんだなと思う。

子供のころからずっとずっとずっとずーーーーーーっと名前を読み間違えられてきたので、そもそも「名前を間違うことが失礼」という感覚がない。なぜなら日常的にされているからだ。私が他人の名前を間違えると「名前を間違えると失礼だからやめようね」と言われる。失礼も何も、私は社内の人間からも毎回漢字間違った表記でメール来てますけど…になる。だから「我々は何ものも拒まない だから我々から何も奪うな」の気持ちになる。ゆるさねぇぞ‥‥


読んだ本

山崎ナオコ―ラ『かわいい世の中』

タイトルに惹かれて手に取った。若草物語細雪のような四姉妹もの。女性の経済力や甲斐性は褒められない。とそれどころか、視界にすらほとんど入れてもらえない。主人公は「自分で稼いでいることを褒められたいし、社会保険料や税金を免除されている人は「税金を納められなくて残念と考えているのではないか」と思ってる。でも、経済的に自立している女性を世間は「頼れる人がいないから仕方なく働いてる」くらいに思っているのかもしれない。
結婚式の費用を妻である主人公が全額出そうとしているのに、誰にも褒められなくて私が泣いた。にかくパートナーが頼りない。主人公がちょっと空回りしてる感じがつらい。読書の感想サイトでも「主人公が可愛げがない。めんどくさい女」とかいわれて「おい!!!!!」と怒ってしまった。
女性ものの香水は「かわいさ」「セクシーさ」だけを引き出すような香りが多い。だから主人公は「経済力」という名の香水を作ろうと立ち上がる。

劇団雌猫『一生楽しく浪費するためのお金の話』

30代になったことだしそろそろ自転車操業もまずいな…と思って読んだ。

内容を3行でまとめると
①自力で稼ぐ。趣味にかかるお金は年間でいくらなのか書き出す(FC会費など定期的にかかるもの、イベントごとにかかるもの、など全て)
iDeCoとNISAを始める。保険を見直す。
③無理のない範囲で資産運用を始める(最低限必要な現金は給料3か月分残しておく)
でした。

だいたい全部やってる!!!!!!!~完~
逆に言うと自分のお金の使い方がそれなりにできてたことが証明されたのでよかった。「趣味にかかるお金を書き出す」について、自分は予算制でやっていて、月に趣味用封筒に一定の金額を入れて、そこから捻出している。NISAに関して、今となってはやらない意味がわからん。みなさんの収支を見ていて、やっぱ実家暮らしが最強やな…と思った。
この本の発行は2019年3月で、そういえばこのころはまだ「推し活」という言葉はなかったなと思った(正確にはオタク界隈の一部であることにはあったが、一般層にまでは到底浸透していない)。今ならタイトルに推し活が入りそう。
自分は一生推し活!!みたいな気持ちは全然なくて、なぜかというと自分が推し活をしている自覚はないからです。見たいものを見て買いたいものを買っているだけのただの趣味の購買活動です。(あとは純粋に就活以外の「○○活」という言葉が嫌い)



今週の許可局でマキタスポーツさんがグループディスカッションの話題で「(そういう場面で)わたし人見知りなんでとか言ってんじゃねぇよ」って言ってて、すげえ分かるなと思った。

新米とサツマイモが悪魔的にうまく、肥え始めています。

足デカ女に人権なし、だけどでっかな心で生きましょう[2024/10/15(火)]

最近、革靴のかかとがカパカパするので、購入店であるアシックスウォーキングに相談に行った。靴の様子を見てもらい、調整してもらうとあっという間にカパカパいわなくなった。プロはすげぇやと思った。つぶれた中敷きの厚みを足したらしい。「かかとの内布が破れかけているので、お時間あるときに修理に出してください」と言われた。完全に破けてしまうと修理ができなくなってしまうそうだ。かかとの修理は3週間かかるので、しばらく革靴を履かない期間に出すしかないな…と思った。でもそんな期間、ないぞ? つまり革靴を修理に出すには新しい革靴を買わなければならないらしい。2足でローテしたほうがいいとはわかっているが、アシックスの革靴は3万ほどと高価なのでホイホイとは買えない。その間、転職活動・葬祭用に買ったパンプスを履くか…ヒールはくのは嫌なので買うか。正直、この仕事をいつまで続けるかもわからないので、あまり高い靴を買いたくない気持ちもある。

靴に関して、私は本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に苦労している。そもそも25.0か25.5センチの靴じゃないと履けないため、トメブラのレディース靴はそもそもご用意されていない。じゃあメンズものを履けばいいのでは? となるが、違うんだなー。メンズはメンズで25.0がなかったりするのだ。そして男性用の靴の足型は女性用に比べて足幅とかかとが広め、甲周りが高めに作られているので、縦の長さがあったところで、足には全くフィットしないのである。

この「足幅」問題はサイズ以上に厄介である。そもそも私は足幅が細く、E~2Eの靴じゃないとフィットしない。ドメブラの靴は大抵「日本人向け3Eサイズ」をで設計されている。そのためたとえユニセックスの靴で25.0か25.5を履いたとしても、幅が広すぎて前滑りしてしまうのである。とりあえず幅広くしとけみたいな風潮は本当にやめてほしい。足幅が狭い日本人だって滅茶苦茶いるはずだよ。

だから今までは比較的足幅が細い海外ブランド(ノースフェイス、ナイキ)を買うことが多かった。しかし、ABCマート等の量販店では在庫してあるサイズはドメブラに準拠していて、買えないことの方が多い。となると通販でイチかバチかで買うかしかなくなる。
足デカ女の定番、オリエンタルトラフィックはあまり好きではない。幅広だし、質もあまりよくないからである。パンプス類は長年マルイのヴェリココに頼ってきたがこちらは数年前に事業を縮小してしまった影響で、なかなかほしい商品に出会えなくなってしまった。(ちなみに就活パンプスみたいなやつだと、靴流通センターのフワラクが25.5cmまで用意してくれているのでお勧めです)
もう海外で靴を買うしかないのか?というところまできて、アシックスウォーキングに出会った。アシックスウォーキングの2Eかタイトめの3Eの靴に中敷きを店員さんに当ててもらうことで、何とか人間らしい生活を出来ている。
アシックスウォーキングの靴は2万~3万前後と高価ではあるが、足に合った靴が買えるのでそれくらい出しても全然かまわないという気持ちになっている。足デカ界隈の皆さん、アシックスウォーキングに行きましょう。


髪に関しても苦労している。毛量死ぬほど多い、太い、直毛(ただし湿気を吸ってふくらむ)でヘアスタイルに制限がある。そろそろ根本的な改善をしようと思い、リファのドライヤーを買った。使用1日目は「まぁこんなもんか」というかんじだったが、3日目あたりから明らかに髪のまとまり方が違ってきた。1週間も経つとなんとなくシルエットまで変わった気がする。毎年この時期は髪の乾燥とごわつきが気になっていたが、指通りも滑らかで全体的にまとまっている感じがする。ドライヤーの時間も短時間で済むし、これは素直に買ってよかった!と思った。さようなら、朝の広がりヘアーよ…。もっと早く買えばよかったな。

足も身長もでかいので、でっかな心で生きたいが、さいきんちっさな心で生きている。いつまでたってもデキナイチャンだもんね。ヤッタルチャンになるんやで。新しい私になれ!ってスマイレージさんも言っていた。先週は新しいスーツを買うか迷っていた。買わなくてもぎりしのげるが、買った方が気持ちもパリッと過ごせるだろうと思ったので買った。ダボダボのスーツ着てる石破より、パリッとしたスーツ着てる麻生のほうがかっこいいじゃん(急な自民党例え)、まあ、いつまでこの仕事するかわかんないけど…。
それにしても女性のスーツにポケットない問題、本当に困るよね。ポケットがあっても浅くて物が入らないし。男性記者はスーツに名刺入れ、手帳、レコーダー、カメラ、スマホ全部入れて身軽に動いてるのに女性スーツには何一つ入らなくてポシェット下げて歩いてる。本当に苦痛。あと胸ポケットがないのが地味につらい。名札を胸ポケットに着ける機会は縦に襟につけるしかなくなる。
なんかやたらボディラインの丸みを強調させるデザインも嫌だし、ままごと用かよ女性スーツは…と思う。あと普通のズボンでも横のポケットはあってもヒップのポケットはないのが結構あるし、本当に嫌…


読んだ本

石川優実『#KuToo(クートゥー) 靴から考える本気のフェミニズム

男性はぺたんこ靴なのに、なぜ女性はヒールのあるパンプスを履かなければならないの? という純粋な疑問と、平らな靴で働きたいというシンプルな願い。これだけのことなのにどうしてままならないのか…痛くない靴を履いて仕事をするという人間として当たり前の権利が手に入れるのがこんなに大変なことなのか? 『2章バックスラッシュ実録』に関しては、この運動に寄せられたクソリプに著者の渾身の反論をしている。本当にクソリプでしかないクソリプ集で笑ってしまった。「物いう女」というだけでこんなにクソリプが飛ばされるのか、と思った。声を上げる女性をどこまでも追い回して黙らせようとする悪意をひしひしと感じた。冷静に考えて他人が履く靴を変えたところで自分に与えられる影響は何一つないのに…と思ってしまう。
一方で巻末の応援コメントには男性の応援も多くあり、まともなひともちゃんと
自分はヒールを強制されたことはないけれど、就活の時は足を痛めながらヒールを履いていた。今は革靴を強制されているけど、男も女も革靴でたちっぱはきついから、さっさとこれも無くなってほしい。健康な靴で仕事したいよ。
あと、葬式の時の「女性は黒い薄手のストッキング着用。厚いタイツはマナー違反」って謎マナーをどうにかしてほしい。なんで薄さで悲しみを表現しなきゃならないんだ。真冬にストッキングはきつい。

朗々と[2024/10/9(水)]

昨晩からの雨ですっかり空気が冷え込んでいる。今月になってからかなり体調が良く、平日も帰宅して即就寝してしまうことがなくなった。気温が落ちてからのことなので、この夏はずっと夏バテしていたことに今更気づいた。夏は自律神経がおかしくなったこともあり、ずっと「このまま衰弱死してしまうのではないか」と本気で思うほど何もできなかった。中国語の勉強もストップしてしまった。やっぱり寝具を変えたり、エアコンの冷気がちゃんと寝室に回るように改善しなければならない。

綿混の厚めのジャケットを着て出勤。暑いかなと思ったが、これでちょうどだったので、どんだけ気温が下がったんだと思った。今度、大島の三原山に行くのでその旅行料金を支払いに昼休みに郵便局に行った。窓口のおじさんが払込票の処理をしながら「三原山に行かれるんですか?」と尋ねてきた。「ええ」と答えると「僕、何回も行ってるんですよ。海も山も綺麗です。楽しんできてください」と声をかけてくれた。それがなんとなく嬉しかった。
そういえば郵便局の窓口の人に結構話しかけられる。昔、保険の請求のために窓口に行ったら、おねいさんが私の持っていたすみっコぐらしのファイルを見て「すみっコぐらしかわいいですよね。私の娘も好きなんです」と声をかけてくれた。また、速達を出した時は「ちゃんと明日の朝には着きますから、心配しないでくださいね」と声をかけてくれた人もいた(よっぽど不安そうな顔をしていたらしい)。郵便局は個人的には結構好きな場所かもしれない。


夜は定時で会社を出て堀井美香さんの朗読会「yomibasho vol.5ピアノで綴る音楽朗読 三浦綾子「母」」へ。
実は、今まで朗読会に行ったことがなかった。堀井さんが朗読会をやっていることはオーバーザサンを通して知っていたが、これまでタイミングが合わず行くことが出来なかった。7月の公演も早々に完売しており(また東京でやるときに行こう)と思っていた。が、その日ダブルブッキングが発生し、今日はその振替公演。奇しくも伺うチャンスを手に入れた。
オーディブル青空文庫の朗読配信は聞いたことはあるが、それだけだ。オーディブルで聞く限り、「地の文は感情をこめつつもあくまで淡々と、セリフは感情をこめ気味に言う」という感じなのかな、と思った。駆け込み訴え(オーディブルの朗読がすばらしいので、聞いてみてください)のような一人称口語体のものだと、ちょっと芝居ぽくなるのか? と言うイメージ。

東京文化会館には初めて入る。ちょうど月曜日にNHKの「歩く歩く まんぽ旅 街の魅力を再発見 」という番組で上野の美術館群について取り上げていたので、「進研ゼミで見たところだ!」になった。東京文化会館小ホールはは半円の舞台をぐるっと囲むような形。ステージにはスタインウェイのピアノと、椅子が置いてあるのみだった。
開演時間になると堀井さんとピアノの三宅さんが出てくる。深くお辞儀をして、堀井さんが声を発した瞬間空気が変わった。舞台にいるのは堀井さんではなく、小林多喜二の母・セキさんだった。秋田弁で語る90歳のおばあさんがそこにいる。

幼い多喜二との思い出を懐かしむ声、多喜二のガールフレンドであるタミちゃんが小林家に来て嬉しそうな声、多喜二を苦しめる警察を恨む声、母親として多喜二を喜ばせようとぼたもちをこしらえる声、多喜二の死を悲しむ声、神父さんとの会話の中での、命を慈しむ声。どのシーンでも自然と涙が溢れた。
声優や役者さんとも違う、声の表現。もりろん堀井さんはセキさんになりきって表現しているわけだから演技と言ってしまえば演技なわけだけど、でも演技ともまた違う…これは何だ? 感情はこもっているけど、感情だけで読んでるわけではないことは素人目にも見てわかる。なんだ? やっぱり朗読なのだろう。秋田弁で話しているけれども、秋田弁話者にしか分からない言葉やイントネーションは一切使わず、標準語の文脈で語られる秋田弁なのがいちばん凄かった。秋田弁は標準語話者には絶対解読できないから。「生きるのってどうしてこんなにつらいんだろう」というセリフがとても印象的だった。

そしてこの朗読会は全て暗唱で読まれる。本一冊分の文章を何も見ずに諳んじるなんて、人間に出来る芸当なのか?と思ったが、堀井さんはやってのけた。何も見ずに朗読するから観客が物語により没入できたというのは絶対にあると思う。本当に、アナウンサーは声の技術職である。

朗読に合わせたピアノや照明もすばらしい。タキさんの心象風景が幻燈のように光になってステージに現れる。ラスト、神父様とのお話の場面では、ホール全体が教会のように見えた。「イエスは涙を流された――」。聖書のその一説がセキの、多喜二の、そしてこの会場にいる全員の救いになるようだった。

文化会館のロビーにはバレエのポスターがいっぱい貼ってあった。年明けにジゼルをやるらしい。行きたい。
上野で鶏白湯ラーメンを食べてから帰路に着いた。泣いたせいか、鶏白湯は味が良く分からないまま食べた。


読んだ本

齊藤彩『娘という呪縛、母という監獄』

滋賀医科大学生母親殺害事件の取材をもとにして書かれた本。母親のLINE原文が恐ろしかった。娘は常に「お母さんに対して申し訳なく思っています」というスタンスで、本当に逃げられなかったんだな…と思った。娘はずっと母とだけ付き合っていたわけではなく、逃げるために教師にSOSを出したり、何度も家出や就職にトライはしている。そのたびに母に連れ戻されている。この辺で家族の問題に外側が介入
母娘問題の話でいつも思うのは父親の不在。この過程は父親が母になじられ、離婚こそしなかったようだがあかりが中学に上がる前に別居したようだった。
ブラックジャックに憧れたが、医師になれるほどの学力はない。だからピノコ(手術看護師)になりたい」という思いがどうしてこんなに無碍にされなければならなかったのか「助産師になりなさい」という母の命令も突然降ってわいたもので、助産師に何か理由や特別な思いがあるとは思えなかった。「医者になれない、でも看護師になるんじゃみっともない。だったら助産師にさせよう」という胆略的な考えだったのだろうと想像がつく。医療系資格なんて他に色々あるのに…とにかく娘を支配下に置きたい、娘を使って夫に復習し、周囲の人間からの賞賛を得たかったのだろう。
殺人は許されるものではないけれど、だれも娘を責めることはできない気がする。